女子高生の秘密!?
秘密!?とつけたが、秘密というより思想の話である。
高校生の時、クラスメイトに美人でそこそこ勉強ができて性格もハツラツすぎず優しすぎず、ちょうどいい女の子がいた。モテていたか知らないが、少なくとも私が友人たちとおんぶレースをしているときに見た彼女は男子に囲まれていた。ちなみに、おんぶレースは最下位だった。畜生。
その日、私はなんとなく彼女と話したくなったため久しぶりに話しかけてみた。偶然体育祭のチームが同じだったことはマジで運がよかったといえる。
以降、彼女のことをSと呼称する。
「見て!Sちゃん!メッチャ日焼けした!」
特にこれといった話題がなかったため、日焼け止めを塗り忘れた肌で勝負した。
「ちょっと!なんで日焼け止め塗ってないの!塗らないとさシミとかそばかすとかになるし、化粧の時だって…………」
怒られた。普通に怒られた。同級生に怒られた。ちなみにSちゃんはその時、日焼け止めをこれでもかと塗っていた。精神年齢の差を感じ、家に帰って少し泣いた。
「ごめんなさい」
謝った。
「次は塗ろうね」
許された。
次はなにを話そうか、そう考えていると待機していた運動場の後ろの道路付近から可愛らしい声が聞こえてきた。
園児である。お散歩中の園児たちがこちらを見ていた。
さすがは高校生。ちびっこに対して優しくする心をすでに持っている。多くの高校生が園児たちに大きく手を振った。園児たちも「バイバーイ!」と元気よく手を振った。引率の先生はニコニコしていた。水卜ちゃん似で可愛かった。
これぞハッピー!!!と思いホクホクしていた所、気が付いた。
そういえばSちゃん、手を振ってないな。しかも、めっちゃ爪いじってる。
Sちゃんならば、手を振りそうなのに。そう思った私は思い切って聞く勇気はなかったため、やんわり聞いてみた。
「さっきのちびっ子たち可愛かったね」
どうだ、気付いてなかったことないだろうし、なにか理由があるのだろう。どうだ、なんて返す。
「え、あんなガキ共が?」
「ガキ」
Sちゃんは思っていた以上に展開が早かった!
あたふたする私。
「ガキ。いやうんまぁ、うん。ガキ、だったね」
「そうだよ、ガキはガキだよ。どいつもうるさいガキ。嫌い」
「待って待って」
待ったをかけ、皆が待機しているところから少し離れたところに移動する私たち。移動している時、疑問に思ったことがあった。この世の中、子供嫌いを自称したら、コイツ倫理どうなってるんだとかそのくらい我慢しろよとか、そんな扱いを受けるだろう。
なぜ、あんなにはっきりと子供が嫌いだといったのか。
「えっと、聞くね。子供苦手?」
「違う、嫌い。1歳から15歳まで嫌い」
「定まってるんだ。………あ、0歳はいいんだね」
「情けかな。まだ何も知らないだろうし」
これは根深いぞと体育座りをし、土をいじりながら考える。
「ごめんけど聞くね。子供嫌いって、他の人も知ってる?」
「知ってる。知られても別にいいし」
Sちゃん、強かった。こんなに強いなら、もっと踏み込んでもいいだろう。
「なんで嫌いなの」
そう聞いた途端、少し眉をひそめて私の方を見るSちゃん。一息でこう言った。
「ガキはガキじゃん」
その後私は、これ以上聞くことができなくなり、代わりに好きな仮面ライダーの話をして間をつないだ。私はビルド。Sちゃんは555だった。
そのまま時は過ぎ、学年があがり二年になった。
そして来てしまった。家庭科の授業の一環として毎年行っている。幼稚園児への無償奉仕の体験授業が。
が、しかし、その年はなんやかんやイジメとか教師の大左遷とかが重なり、なくなってしまった。
私は覚えている。中止が発表され、友人と共に悔しい!!!と言いながらトイレに行った際、個室から小さく「ッシャアァ!」という声が聞こえてきたことを。